高崎市倉賀野町の旧中山道「左道通行」道標。
「左道通行」道標は、旧中山道に設置された左側通行であることを示す昔の道路標識。昭和7年(1932年)に旧内務省が設置したもの。旧内務省は警察や地方行政など内政一般を所管した省庁で、内務大臣は首相に次ぐ地位(副総理格)とされた。
交通量の増加に伴い松並木の南側に道路を新設し、松並木をそのまま中央分離帯として使用した。松並木の両側の道路が、それぞれ左側通行であることを示すため設置された(解説板の写真に赤矢印を追加)。道標は高崎側と倉賀野側それぞれに設置されている。
戦後になり交通量(自動車)の増加から、中央分離帯としての松並木やこの道標に衝突する事故がたびたび発生。安全面から昭和25年(1950年)ころ、松並木が撤去されている。これに併せ道標も撤去されたようだ。倉賀野側は昭和37年(1962年)ころまで路傍に置かれていたとの情報もある。
平成28年(2016年)になり、道標が高崎市新町の旧建設省事務所内(現在は民間企業敷地)に保管されていることが判明。平成30年(2018年)に当地に再設置されている。撤去から60年余り(撤去年に諸説あるようだが)、よく残されていたものだ。
道標は高さ約1m30cm、幅約40cm。厚さも約40cm。設置されているのは倉賀野側のものだが、高崎側に設置されている(もちろん元の場所ではないし、歩道側ではあるが)。高崎側の道標は撤去時に、既に損傷が激しく廃棄されたらしい。倉賀野側も自動車が接触した痕跡が多く残っている。
この記事を書いていたら、松並木を中央分離帯として使用している現役の道路があることを思い出した。行ってみるかな。