太田市新田花香塚町の華香山安成寺。

昭和23年(1948年)に華香山願成寺と医王山安楽寺が合併し、各一字づつ取り安成寺となっている。山号は願成寺の華香山、院号は安楽寺の実相院を使っている。現在地は旧願成寺である。
旧願成寺・旧安楽寺のいずれも、その創建年・開山・開基などは不詳となっている。旧安楽寺は貞治2年(1363年)の古記録にその名が見え、旧願成寺は寺域内から文保2年(1318年)銘の板碑が出土している。


本堂は昭和59年(1984年)の建立。本尊の薬師如来坐像は天正20年(1592年)の紀年銘があり、太田市の重文に指定されている。この薬師如来像は旧安楽寺の本尊であったとされる(旧願成寺の本尊は聖観音で、こちらも本堂内に安置されている)。

本堂前の弘法大師像。平成10年(1998年)の造立。


境内の薬師堂。以前は弘法大師・興教大師像を祀る太子堂であったが、現在は薬師如来像を本尊として祀る薬師堂となっている。


薬師堂内部。薬師如来像の両側に弘法大師・興教大師像。その前段には十王像と奪衣婆像。


道の向かい側に墓地があり、旧安楽寺の跡地である。寺跡と感じられるような遺構は認められない。その墓地の一角に弁財天の祠がある。天明6年(1786年)の造立。三方が水路となっており、往時から水神として祀られていたのだと思う。
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