渋川市伊香保町水沢の五徳山水澤寺。

水澤寺 (1)
水澤寺の創建は不詳だが、寺伝では推古天皇の勅願により高句麗僧・恵灌が開山したと伝わる。創建当初は御堂の数30余宇、御仏の数1,200体にも及んだが、再三の災火により焼失。現在の堂宇は大永年間(1521~28年)に仮堂を建立し、宝暦(1751~64年)から天明(1781~89年)に至る33ヶ年の大改築により完成している。板東33観音霊場の第16番札所であり、水澤観音の名で親しまれている。

現在地の南東700mにある水沢廃寺が、前身の寺院跡だといわれる。10世紀とされる山岳寺院跡で、標高580m程の緩傾斜地に4段の平坦地を造成している。古瓦が散布し一部礎石も残っている。

水澤寺 (2)
水澤寺 (3)
仁王門は天明7年(1787年)の建立。昭和44年(1969年)に茅葺きから銅板葺きに改修されている。

水澤寺 (4)
水澤寺 (5)
仁王像は平成6年(1994年)に修理が行われ、平成13年(2001年)に完成した釈迦堂に移され保存されている。そのため、写真の像は入れ替え時の新規造立となる。

水澤寺 (6)
水澤寺 (7)
風神像は昭和35年(1960年)、雷神像は寛永19年(1642年)の造立。平成7年(1995年)に修理が行われている。

水澤寺 (8)
狩野探雲の天井絵。探雲が85歳の時のものらしい。平成6年(1994年)に再彩色されている。

水澤寺 (9)
仁王門の2階には釈迦三尊像(脇侍は普賢菩薩と文殊菩薩)が安置されている。三尊像も平成6年(1994年)に修理、仁王像同様に釈迦堂に移し保存されている(写真の三尊像は新規造立)。

*釈迦堂は休館中だったので、残念ながら釈迦三尊像などは参拝できなかった。

水澤寺 (10)
仁王門2階の十六羅漢像。

水澤寺 (11)
水澤寺 (12)
本堂(観音堂)は天明7年(1787年)の建立。昭和35年(1960年)に屋根を茅葺きから銅板葺きに改修している。本尊の十一面千手観音像は平安時代末の造立とされる(秘仏)。この十一面千手観音像は上野国司・高野辺家成の3女 伊香保姫のご持仏であったと伝わる。

高野辺家成の3人の娘たち(淵名妃・赤城姫・伊香保妃)には、群馬県にかかわる伝説が残っているが、それは別の機会に。

水澤寺 (13)
水澤寺 (14)
水澤寺 (15)
向拝の天井絵。龍を2枚の天女が挟んでいる形になっている。意味があるのかなどは知識がないので分からない。

水澤寺 (16)
水澤寺 (17)
水澤寺 (18)
虹梁上の2頭の虎と林和靖の浮き彫りなど、素晴らしい彫刻も施されている。

水澤寺 (19)
六角二重塔は天明7年(1787年)の建立。

水澤寺 (20)
水澤寺 (21)
下層部は六面に向けて地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間界・天人界の六地蔵尊(青銅製)を棚の上に安置し、芯を軸に回転することができる。左に3回廻してお参りすることで、より良い世界に生まれ変われるといわれる。別名開運六角地蔵尊と呼ばれており、多くの人が廻していた。

水澤寺 (22)
上層部(2階部)に「大日如来」の扁額がかかっているが、これは大日如来が祀られているから。

水澤寺 (23)
水澤寺 (24)
水澤寺 (25)
鐘楼と梵鐘。梵鐘は「大和(だいわ)の鐘」と呼ばれる。昭和50年(1975年)の鋳造。ちなみに誰でも撞くことは可能だが、志納金として一打100円也。

水澤寺の主な施設はこんなところだが、その他にも多数の付属的施設もあるので、次回紹介する。と言うことで、つづく。