渋川市北橘町上南室の南室山正善寺。
正善寺は嘉暦元年(1326年)僧・一空の開基、創建と伝わる。元和2年(1616年)僧・円道が中興、天台宗に改宗したとされる。創建年から旧北橘村最古の寺院となる。明治初年に現在地に移転したという。
門柱の表札は「天台宗 南室山正善寺」と「上南室農業者研修施設」の2枚が掛かっている(ちょっと見づらいが)。
正善寺はたびたび火災に見舞われており、特に大正12年(1923年)の大火では本堂・建物・什宝などもほとんど焼失している。このとき、檀家の方が炎の中からご本尊(釈迦如来像)を救出したという。
庫裏は地区の集会所となっていたが、昭和55年(1980年)に地域農政特別整備事業の一環として、本堂兼用の上南室農業者研修施設が建設され現在に至っている。
境内(というか庭なのか)にはブランコや滑り台などの遊具が設置されている。
現在の北橘町上南室と下南室は、往事は一村(南室村)であったが天正年間(1573~92年)に上・下の二村に分かれたとされる。分村の理由は定かではないが、何か事件があり紛争になったからとされる。分村する際、上南室は寺(正善寺)を取り、下南室は二叉の堤を取ったのだという。
正善寺は当時は下南室村内にあったが、上記のように上南室村のものとなったため、寺一帯は上南室村の飛び地となっていた。明治5年(1872年)に当時の住職が入寂し無住となったため、その後現在地へ移転したとされる。
その際に寺関係の遺物(僧侶の墓や仏塔・石仏類)を遷したのが、上南室赤城神社の社殿脇にある仏教系遺物のようだ。(「渋川市北橘町上南室・赤城神社」参照)
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