前橋市広瀬町の天神山古墳。

前橋・天神山古墳 (1)
前橋・天神山古墳 (2)
天神山古墳は全長129mの前方後円墳で、前方部幅68m、前方部高さ7m、後円部径75m、後円部高さ9mで、墳丘は3段築造で葺き石が葺かれており墳頂には土師器が配列されていた。4世紀前半の古墳時代初期に、東日本で最も早く造られた前方後円墳のひとつ。

しかし昭和40年代の高度成長期に、地域開発(区画整理事業)のため削平され、現在は後円部の一部が四角く残っているのみである。

後円部石敷面の約4m下には大規模な墓抗があり、その墓抗を掘って主体部の粘土槨が造られていた。粘土槨は長さ7.8m、幅1.2m、深さ1mの巨大な割竹形木棺を被覆したものと判明している。

木棺、遺骸は残っていなかったが、赤色顔料に染められた槨内には、銅鏡5面、紡錘車形石製品4個、素環頭大刀1本、鉄刀6本、鉄剣12本、銅鏃30個など、15種165点が見つかっている。

中でも銅鏡は三角縁四神四獣鏡、三角縁五神四獣鏡、三段式神仙鏡、二禽二獣鏡、変形獣形鏡であり、非常に貴重である。これら出土品は国の重文に指定され、東京国立博物館にある。

その規模や出土品(副葬品)から見ても、古墳の現状は非常に残念な姿となっている。