前橋市元総社町の化粧薬師(縁切り薬師)。

化粧薬師 (1)
化粧薬師 (2)
化粧薬師の謂われには大蛇伝説がある。当地の風呂沼に棲みついた大蛇が若い女性を要求し、里人が従わないと田畑を荒らし回った。里人はその厄を逃れるため、やむを得ず女性を人身御供とした。そこで犠牲になった女性を哀れんで薬師仏を造立、白粉と口紅を施し女性の霊を供養したといわれる。

区画整理事業(道路拡張・河川改修など)により、平成24年(2012年)牛池川(風呂川)に架かる薬師橋の袂から現在地に移転している。

化粧薬師 (3)
化粧薬師は嫁入り前の女性の化身であるため、嫁に行く娘はここを避けて通るようになり、その一方で離縁を願う女性はその望みが叶えられたという。そのため縁切り薬師とも呼ばれる。

お堂内には願掛けの人がお礼参りのときに奉納した(と思われる)小型の石仏も置かれている。薬師如来は衆生の病苦を救うとされ、特に眼病への霊験があると信じられていることからの風習。

化粧薬師 (4)
三大仏様と呼ばれる仏塔。元文4年(1739年)の造立。一万余りの小石に仏典の法華経、華厳経、般若経を墨書し、塔の下に納めたもの。昭和57年(1982年)に再建されている。

化粧薬師同様、区画整理事業のため平成24年(2012年)に現在地へ移転している。

化粧薬師 (5)
化粧薬師 (6)
庚申信仰関係の石仏・仏塔類。女人講塔(如意輪観音)は文政2年(1819年)の造立。

化粧薬師 (7)
道祖神。他の施設同様、平成24(2012年)年に現在地へ移転。

化粧薬師の謂われにある大蛇は、総社町総社の蛇穴山古墳の大蛇とされる。古墳を護った大蛇(被葬者とされる上毛野田道とも)が、当地では田畑を荒らし人身御供を要求している。伝説にも都合があると言うことかな(苦笑)。
(「前橋市総社町・蛇穴山古墳」参照)