前橋市河原浜町の慈恵山応昌寺。
応昌寺は天延3年(975年)慈恵大師が関東巡錫のおり当地に滞在し一宇を建立、千手観音を本尊として創建したと伝わる。観音像は大師の自刻で、悪疫を消除せんと誓願を立てたとされる。慈恵大師は第18代天台座主で、一般には通称である元三大師の名で知られる。
本堂は昭和42年(1967年)の建立。平成11年(1999年)に屋根の葺替えを行っている。柱に付けられている標板には「元三大師」の名と共に「御祈祷所」の文字も。元三大師が悪疫を払うよう誓願した由来通りである。
境内の六地蔵。
墓地には香川昇三・綾夫妻の墓がある。綾は香川栄養学園(女子栄養大学などを運営)の創始者。医学博士で計量カップ・計量スプーンを考案するなど、現代栄養学の基礎を築いた「栄養学の母」ともいえる女性。
先の大戦中に学園は東京駒込から旧大胡町に疎開しており、不幸にも昇三が大胡で亡くなったため応昌寺に墓所がある。
以前に紹介した前橋市粕川町女渕の聖観音堂は、応昌寺の境外仏堂である。応昌寺が聖観音堂があった多福寺を昭和43年(1968年)に合併したため。
(「前橋市粕川町女渕・聖観音堂」参照)
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