藤岡市譲原の三波石峡。
下久保ダム直下の神流川に、約1kmにわたり巨岩・奇岩が並ぶ。三波石は青味の中に、水で洗われた石英が白く浮き出た美しさが特徴で、古くから庭石として珍重され、全国的にも有名である。
江戸時代末期には、それぞれに名前のついた「銘石四十八石」が存在し、三波石峡を訪れる人も多かったなど、歴史も古い。当時は、旅人相手の案内を生業にしていた村人もいたといわれる。
しかし、三波石峡も下久保ダムの完成(昭和43年)により、渓谷を流れる川の水が枯渇し、石には苔が生え黒ずみ、川底に葦などの雑草が繁茂し、見るも無残な姿になってしまっていた。
33年後の平成13年(2001年)、ダムの表面取水設備からの導水管を分水し、ダム直下に放流できるようになった。やっと川に清流が戻り、それに伴い三波石峡も、かつての姿に戻りつつある。
治水、利水、発電等、ダムの重要性を疑う余地はないが、こういう副作用もきちんと事前に考えておかないとね。
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