吾妻郡東吾妻町金井の一宮神社。


一宮神社は貞観3年(861年)に甘楽郡・抜鉾大明神(貫前神社)の分霊を勧請し、川戸村・金井村両村の鎮守として祀ったのが始まりという。
真新しい鳥居は平成28年(2016)の建立。

ご神橋を渡ると、社殿は右側にある。参道が直角に曲がっている。



徳治年間(1306~07年)に、吾妻太郎行盛が武運長久のために社殿を再建したといわれる。現在の社殿は昭和43年(1968年)の改築。

明治5年(1872年)奉納の算額。高橋富比の門人による。

3つの巨石からなる磐座。
源義家が奥州征討(後三年の役)のおり、当社で戦勝祈願をしたという。その際、宝物の剣を乞請けし、奥州平定の帰路に剣を返納するとともに、太刀・矢の根(鏃)など多数の品を奉納したといわれる。これらの品は現存しているらしい。
ところで、一宮神社の西方約1kmの川戸地区内から、奈良・平安時代の竪穴住居や掘立柱建物などが発掘されており、「吾妻郡衙」跡と推定される。また、100mくらいのところには金井廃寺遺跡がある。複数の巨大礎石が確認されていることから、古代の巨大寺院跡と推定されている。
これらのことを総合すると、一宮神社と金井廃寺は「吾妻郡衙」の中核をなした寺社だったのではないかと考えられる。そうすると、当地に上野国一宮・抜鉾大明神を勧請し、一宮神社としたのもうなずける。
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