前橋市横沢町の石塔婆。

横沢の石塔婆 (1)
横沢の石塔婆は赤城山から噴出した輝石安山岩製で、頂面に大日如来、南面に観音菩薩、西面に阿弥陀如来、北面に釈迦如来、東面に薬師如来を意味する種子(梵字)が刻まれている。

横沢の石塔婆 (2)
紀年銘は、観音菩薩に暦応2年(1339年)、阿弥陀如来に暦応5年(1342年)、釈迦如来に康永2年(1343年)とあり、3つの年に渡っている。いずれも南北朝期の北朝の年号。どの年も2月18日の観音菩薩の有縁日であることから、観音信仰の対象として造られたものと考えられている。

また、願主の長源子満が康永2年(1343年)に亡くなったと思わせる「辞世敬白」との銘文も刻まれている。

横沢の石塔婆 (3)
付近に宝篋印塔の残片があったが、当地は満福庵という寺院があったらしい。