安中市松井田町小日向の龍王山成就院栄福寺。

成就院 (1)
成就院は弘和元年(1381年)足利鶏足寺の僧・慶秀の創建と伝わる。慶秀が七寺建立の大願を立て、七寺目の当寺で大願成就したため成就院としたとされる。ちなみに、弘和は北朝の年号で南朝では永徳になる。

成就院に先立ち創建した6寺は、安中・妙光院、後閑・北野寺、新堀・金剛寺(中興)、郷原・自性寺、阿久津・観乗院、八本木・満福寺とされる。しかし、年代が異なったり慶秀以外の名前が開山となっているお寺もある。

成就院 (2)
本堂は平成7年(1995年)の改修。

成就院 (3)
成就院 (4)
本堂裏山には歴代住職のものと思われる五輪塔が並んでいる。開山・慶秀のものもあるらしいが、雑草に覆われていて見分けることができなかった。

成就院 (5)
境内の宝筐印塔。彦根・金亀山北野寺25世高幢の銘があった。高幢は事情あって諸国を遍歴し、当寺の住職となって一生を終えている。火食・肉食を避け、米や野菜を生で食したことから木食上人と呼ばれた。この宝筐印当は高幢のお墓かもしれない。

彦根の北野寺は彦根藩2代藩主・井伊直孝が彦根寺を北野寺と改称したお寺。江戸時代に入ると、彦根北野寺と成就院は密接な関係にあったと推定される。つまりは成就院は井伊家(直孝)と深い関係があったことになる。安中市「ふるさと学習館」の企画展「井伊家と安中」のチラシを見ると、井伊家ゆかりの地の中に成就院が記載されている。

成就院には徳川家光から31石を与える旨の朱印状が残されている。これは直孝が家光の後見役(大政参与)に任じられていたからと推定される。

またプチ情報だが、成就院は映画・寅さんシリーズの14作目のタイトルバックに使われているらしい。

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 「安中市下後閑・威徳山北野寺