太田市新田木崎町の照光山長明寺。

長命寺 (1)
長命寺は延長3年(925年)延寂の開山、小野道風の開基と伝わる。開基とされる小野道風は有名な書家で、柳に飛び移るカエルの逸話で有名。この逸話は戦前の国定教科書にも載っていた。

小野道風と上野国の関係は認められないが、横瀬氏は小野篁の流れをくむ横山氏の一族とされており、道風は篁の孫と当たる。そのため横瀬氏(由良氏)が新田荘を所領していた時に関連付けたのかもしれない(箔付け)。

長命寺 (2)
長命寺 (3)
元亀2年(1571年)の木崎宿の火災により伽藍が焼失したが、慶長3年(1598年)に良山が再興したとされる。現在の本堂などの建立年などは不明。

長命寺 (4)
長命寺 (5)
境内左手に石仏・石塔などが配されており、その後ろの小山は長命寺古墳と呼ばれる円墳である。豊城塚という名称も残っており、名前からして豊城入彦命の墓とかの伝承があるのかもしれない。発掘調査などは行われておらず、詳細は不明である。

長命寺 (6)
長命寺 (7)
墳頂には五輪塔と双体道祖神があった。

長命寺 (8)
長命寺 (9)
寺前や境内には植込みが整備されており、美しい佇まいを感じる。

長命寺は木崎宿の総鎮守・貴先(きさき)神社の別当寺を務めていた。ちなみに貴先が転じて木崎となったといわれる。また、長命寺の門前には「木崎宿の色地蔵」がある。木崎宿は例幣使一行が小休止する程度の小さな宿場だったが、飯盛り女がいたことから、宿場町として大きく発展している。(「太田市新田木崎町・木崎宿の色地蔵」参照)