前橋市日輪寺町の朝天山日輪寺。

日輪寺 (1)
日輪寺 (2)
日輪寺 (3)
日輪寺は神亀3年(726年)の創建と伝わる。

日輪寺の創建には逸話が残る。
寺の東にあった朝日窪という池の水面が、毎朝金色に輝いていた。この話が国司・多治比真人に伝わり、多治比真人が池を浚うと一寸五分(約15cm)の黄金の十一面観音が出てきた。この十一面観音像を祀るために、多治比真人が建てたお堂が日輪寺の始り。

日輪寺 (4)
日輪寺 (5)
大同2年(807年)に弘法大師がここに立ち寄った際に、香木で五尺(約150cm)の十一面観音を刻みあげ、その胎内に黄金像を納めたという。これが今に残る日輪寺の十一面観音と伝わる。

十一面観音像は観音堂の裏手にある宝物庫(?)に納められている。年に1回くらいは開帳されるのかな?

ちなみに、日輪寺の開基となる多治比真人の真人は名前ではなく姓(かばね)である。真人は天武天皇13年(684年)に制定された八色の姓の最高位で、継体天皇の近親とそれ以降の天皇・皇子の子孫に与えられたもの。

当時、上野国の国司に任命されても都からはるばるやってくる国司はいないし、しかも最高位の姓を持っている多治比氏ならなおさら。とは言え伝説に残るくらいだから、それにちなんだ事象があったってこと。