安中市安中の熊野神社。
当地には諏訪神社と三島神社が祀られており、野後郷の鎮守であった。永禄2年(1559年)に安中忠政(重繁とも)が越後国新発田から熊野権現を勧請、安中城(野後から安中に改称)の鬼門守護とした。明治40年(1907年)八坂神社、神明宮、菅原神社、稲荷神社、浅間神社などを合祀している。
神門は安中城の東門を移築したとされる。築城時の門だとすると、460年以上経っていることになる。ちなみに、安中城の廃城は天正18年(1590年)。
鳥居は平成11年(1999年)の建立。
拝殿は向拝に向唐破風を出しており、欄間には透かし彫りの板羽目を入れ、頭貫の木鼻は唐獅子とかご彫り菊の葉を交互に出している。虹梁頭貫の彫刻は精悍な龍。建立年などは不明だが、彫刻類の技法は江戸時代のものとされる。ただ、着色(復元?)は最近のことのようだ。賛否ありそうだが。
拝殿内の大絵馬は狩野永秀知信の筆で、文久2年(1862年)の安中宿の人々の奉納。皇女和宮の江戸下向の無事を祈願したもの。
拝殿内の釣灯籠は青銅製。嘉永7年(1854年)安中藩主・板倉勝明が五穀豊穣を祈願し奉納したもの。
もうひとつある大絵馬は日本武尊かな(想像だが)。だとすると隣の女性は弟橘媛?
本殿の板羽目(7面)には鶴や鳳凰を中心に樹木をあしらい、霞のような雲を配した透かし彫りの彫刻が施されている。室町期の技法とされる。
境内社の諏訪神社。熊野神社以前から祀られていた一社。
境内の大ケヤキ。樹身の三分の二が崩れ落ち、残る三分の一が東北に傾いてしまっているので鉄柱で支えている。この木に願をかけるとイボを取る霊験があるといわれた。諏訪神社のご神木といわれ、樹齢は約1,000年という。
鳥居手前のお堂。中もよく見えず不明なのだが、三猿の彫刻が施されているので、庚申関係のものかな。
なお、碓氷峠の長野県との県境(安中市松井田町峠)にある熊野神社でとは別社です。一応、念のため。