富岡市曽木の昭憲皇后の歌碑。
鏑川を渡り富岡に入ってすぐの上信電鉄陸橋下に、小さな滝がある。この滝は、「おのれの滝」と言う。
かつてこの場所に、鏑川の渡し場と「滝見の茶屋」があり、背後に滝が流れ落ちている風景だったようだ。
明治6年(1873年)に、昭憲皇后(明治天皇妃)は明治天皇のご生母で孝明天皇妃の英照皇太后と一緒に、官営・富岡製紙へ行啓されている。(前を歩くのが英照皇太后、後ろが昭憲皇后)
その際に「滝見の茶屋」で休憩し、滝を見て詠んだ歌が碑になっている。歌碑は明治23年(1890年)の建立。
「作りなす 滝にはあらで 面白く おのれと落つる 音の涼しさ」
この歌から、この滝を「おのれの滝」と呼ぶようになった。
ちなみに、何で渡し場で休憩されたかと言うと、行啓が6月だったので梅雨の大雨で鏑川にかかる橋が流されてしまい、やむを得ず渡し船でお渡りになったため。
昭憲皇后は華族女学校(現・学習院女子高等科)や、東京女子師範学校(現・お茶の水女子大学)を設立するなど、女性の教育に力を入れられた。また生涯に3万首を超える和歌を詠み、東京女子師範学校に下賜した校歌「磨かずば 玉も鏡もなにかせむ 学びの道も かくこそありけれ」が有名である。
ところで、英照皇太后、昭憲皇后がご覧になった「おのれの滝」も、今やすっかり富岡市民にさえ忘れ去られた存在になっている。富岡市民2人に聞いたら、2人とも知らなかった・・・。
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