桐生市新里町山上の塔婆(石造三重塔)。通称、山上多重塔。

山上多重塔 (1)
平安時代初期の延暦20年(801年)に僧道輪によって建てられた供養塔。塔には安楽と平和を願う45の文字が刻まれている。

山上多重塔 (2)
山上多重塔 (3)
材質は多孔質の安山岩を加工したもので、上から相輪、屋蓋、塔身、礎石で構成される。高さは1.85mで、下層は幅48cmで垂直に立ち上がり、中層と上層は「八」の字状に造られている。

それそれの塔身の四面は、朱が塗られていたらしい。塔身上部には、経典を収めたとされる深さ20cmほどの窪みがある。

刻まれている45文字の意味は、「朝廷や衆生などのため、小師の道輪が法華経を安置する塔を建てた。これで、無間の苦難より救われ、安楽を得て彼岸へ行ける」

多重塔は明治時代の開墾時に発見されたというから、けっこう長い期間地中に埋まっていたと思われる。だから、欠損することなく残ってるんだね。